2010/08/19

宮沢章夫「東京大学ノイズ文化論講義」 高橋源一郎『「悪」と戦う』

約2ヶ月、制作のために籠りっきりで、悩むこと(そしてたまに描く)しかできなかったのだけど、やっと時間が取れるようになった。他にやりたいことがいっぱい溜まってたのでやってやろうと思う。

まずは読みかけの本「宮沢章夫 東京大学ノイズ文化論講義」を読む。やはりオモシロイ。僕は何でもすぐ忘れるので読み終わったばかりとは言え詳しく語ることはできないけど、(以前国立国際美術館の主任さんと話した時に本はボロボロになるまで何度も読むものだと言われたことを思い出し反省する…)薄々思って眉間に皺をよせていたようなことをきちんと言葉にしてくれたような本だった。排除するものと排除されるもの。ノイズ。ノイズをできるだけ隠した、追い出したニュータウン的気持ち悪さ。「あなたたちは、今以上に清潔で安全な空間で退屈な人生を末永く過ごしてくれ、好きに生きてくれ、ぼくらはその街へは行かない。」この本の中で宮沢章夫さんが杉田俊介さんの『フリーターにとって「自由」とは何か』から引用したセリフだけど、とっても印象深い。幾つかの小説や映画を思い出したりもする。比較的「キレイ」な町仙台に育った僕が大阪に滞在した時、古いものも新しいものもビジネスマンも空き缶集めてるおじさんも、こんな色んなものがめちゃくちゃに詰め込まれたような都市があったのかと楽しんで、その反面ゴキブリ相手にこんな街に住めないと思った僕には考えさせられるセリフでもある。
最近公園の木の長ベンチの真ん中に後付けされたくさい肘掛けがついてる。これはゆったり座るためじゃなくて、ホームレスから寝る場を奪ってキレイな都市を演出するためなんだろうなぁと思ったりする。多様性がない田舎ではこれを問題だと言う人はいないのかもしれない。(という想像。)
とにかく、そんなノイズや排除の仕組みとリンクした演劇や音楽などのサブカルチャーも紹介してくれている。やはりあらゆる良い表現というのは社会的有用性と歴史的必然性を持っている。作り手の端くれとして自分の作るものもそのことについて語らなけりゃいけないが、未だ語るに足る言葉と表現を持っていないのでそれはまたいつか…

そんで、あんま考えなくていい楽しめそうな本を読みたいと思って本屋さんを一日巡回した。読んどかなきゃいけない本も何冊か仕入れたが、今読みたいのはやはり高橋源一郎『「悪」と戦う』。高橋源一郎さんの本は初めてだが、「ラジオ版学問ノススメ」でのゲスト出演やtwitterでの発言を見聞きすると、何か変なこともしてるしこの人は絶対いい人だろうと思う。物腰やわらかでやさしい感じだけど言うことは言ってる。何ヶ月か前買ったけど時間なくて置いといたBRUTUS「ポップカルチャーの教科書」文学のページ執筆も読んでみたらこの人だった。文学ってものを真剣に考えてる人なんだろう。たぶん。これはオモシロイ人だ。僕は貧乏だけど良い人にハードカバー1600円を払うなら惜しくない。
小説家のお父さんと普通なお母さん、言葉の発達が早い3歳のランちゃんと言葉の発達が遅れてる1歳半のキイちゃん。スーパーで出会った顔のパーツが正しい位置にない「奇形」のミアちゃんとそのお母さん。世界が「悪」に壊されそうになってみんな「隙間」におっこっちゃって、ただ1人「悪」と戦うために立ち上がるランちゃんのお話。本の帯は「ねぇ、”あく”って、ほんとうに”あく”なのかな…」。
ただ単純に読むとちょっと吹っ飛んだ童話みたいに読んじゃいそうなストーリーなのだが、これは文学だ。僕みたいなパッパラパーがこれは文学だって保証するんじゃなくて、文学を真剣に考えてきた(たぶん)高橋源一郎さんを信用して(良い人なんだから信用するんだ)文学といいうことを頭の片隅に置いて読んだ。ランちゃんと文学、言葉の繋がり的にもフラグは立ってる。すると、文中に出てくるこの「」がいわゆる『かぎかっこ付きの○○』って具合に便宜的?(っていうのか…何と言うのか…)に作用してくる。ような気がする。つまりストーリー通りの話しのようで、一方では「言葉」の話しなんじゃないかと思って読めたのだ。僕は。文章にはフリガナもちゃんとふってある。小さい時は童話として楽しめるかもしれない。大人になったら文学として考えさせられるかもしれない。僕はこの本好きだ。
残酷さもあってでもフワフワと不思議な感じなんだけど、読んでる途中でなんだかこの感じ味わったことあるなぁーと思って考えたら、糸井重里のゲーム「MOTHER」シリーズだ!内容の類似点なんかはぜーんぜんわかんないけど、接してる雰囲気(あくまでも雰囲気)としてはもうテン年代版MOTHER4なんじゃないかって勝手に思ったのであった。
そしてそんなこと思ったもんだからMOTHERやりたくなってる今。ファミコンカラーのゲームボーイミクロやっぱ欲しいなぁ。中古で4000円だったんだよねぇ。

4000円かぁ…


  

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